暴力と描写とエンターテイメント

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最近読んだ、中島らもさんの「酒気帯び車椅子」と筒井康隆さんの「銀齢の果て」。
どちらも好きな作家さんなのだが、今回読んだこの2冊、内容は違えど、
ともに弱者が追い詰められた故の兇行の描写がクライマックスだったので、
つい比べてしまった。
で、感じたことなのだが、オバタにとって「酒気帯び車椅子」の暴力描写はライブ演奏、
一方の「銀齢の果て」はベストテイクのレコーディングの音楽を聴いているよう。
つまり「酒気帯び」は荒く感じたわけ。もちろん芯がとおっているお話なので、
その荒さはよいほうに向いているんだけれど、ちょっとその荒さが立ちすぎる感じ。
多分連載で分けて読めば、はらはらドキドキでよいのだろうなぁ。
一方「銀齢」は一冊の本として一気に読むのが絶対いい感じ。
登場人物も非常に多く、なおかつその一人一人が非常に魅力的で、
そんなキャラクターたちが結構凄惨にヤったりヤられたりするのだが、
そのシーンの描写に無駄がなくて「すいっ」と書かれているので、
かえって恐ろしく、かつ、なにやらうっとりしたものさえ感じてしまう。
暴力それ自体の魅力より、その暴力の描写にまでエンターテイメントを感じるのだ。
両方ともエンターテイメントとして、非常に面白いのだが、
もしオバタがこの2冊の内どちらかを人に勧めるとしたら、「銀齢の果て」かなぁ。


 

「暴力と描写とエンターテイメント」への2件のフィードバック

  1. らもの本、ヨメさんに教えたろ。
    あ~、もう読んだかもね。
    私なぞと結婚したばっかりに、らもを知ってしまい、いつの間にか自分で買ってはるからね。
    obata55さんから貰ろた本も熟読してたよ。
    ウチのヨメは、変態好きの普通人やからね。

  2. みっと氏、カキコさ〜んくす!
    >変態好きの普通人
    わははは!その許容量こそ大事だよねぇ。
    モラルなくしてアモラルの快感はあり得ないですからね。
    そういうことをちゃんと分かってこそ、
    立派な大人なんじゃなかろうかと思う次第です。

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