天守物語

最近iPadのi文庫HDというアプリで日本の小説を読み直している。
再読してみてぐっと来たのは泉鏡花の「天守物語」。
もう、これがダントツ!
エロスとタナトス渦巻く世界に、ぽっと生まれる清い思い。
それを邪魔だてし、一時旧知と絶望に追いやる展開。
そしてそれを救いだして言祝ぐ翁の出現で終わる物語。
いやぁ、もうどの場面をとっても素敵すぎで、
思い出したら興奮で耳の付け根がキュっと締って痛くなるくらい。
こんな生への寿ぎは、日本ならではの感覚だと思う。
それを感じ取れるように育った自分は実に幸せ者だと思う次第。