既読書を買う

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最近また中沢さん関係の話が多い。
まぁ、こういうものは繋がって行く傾向があるのでしかたないんだが。
タイトルどおり既に昨年秋に図書館で借りて読んだ本です。
しかしながら、前に書いた「観光」とならんで今やオバタの「見方」のよりどころとなる一冊です。
もうね、ちょっと素晴らしすぎなんですよ。叙事詩を思わせるその内容も、本自体の佇まいも。
控えめな序文と目次の後、西洋の博物誌の表紙を思わせる仏蘭西語の表紙、そして真っ赤な日本語の表紙。
完全に作りが上質の記録映画のそれ。綴じられているくせに圧倒的な時間軸の含み具合の構成にはもうお手上げです。
まさかテキストにさらわれるだなんて!という感じ。
内容は中沢氏の父上が研究していた「石神」を、中沢新一さんが丹念に「日本の精神の変遷の解読」で
裏打ちして仕上げた一級品。もちろん網野さんから流れる歴史学もベースをなしています。
芸能・技術系のヒト、特に日本人は必読書でしょう。自分の素性を知るためにもね。
昔は書物が宝とされたなんて話を聴いたりもしますが、まさにこういう本のことですな。
そんなわけで既読書ですがやっと購入。しあわせ。